検索エンジンは繰り返し「高品質なコンテンツを高く評価する」ということをアナウンスし続けています。このページでは、検索エンジンが良質とみなすコンテンツとはどのようなものかを考察し、その条件をリストアップします。
関係構造によるコンテンツ品質の評価
ごく端的に結論から言えば、SEOにおける質の高いコンテンツとは「利用者が他者と共有したくなるコンテンツ」という一点に集約します。この記事では、それを実現するコンテンツとはどのようなものかを考えていきますが、まずは関係構造に基づく評価についておさらいします。
リンクグラフやソーシャルグラフといった関係構造に基づく評価において高品質と評価されるコンテンツとは、まとめると次のようになります。
- 多くのページから参照されている
- 多くの重要なページからリンクされている(リンクポピュラリティ)
- 多くの人に共有されている
- 多くの重要な人物がソーシャルメディアで共有している
- 質の高い情報源を参照している
- 重要な情報ソースにリンクしているとともに、リンク先に低品質または不自然なものがない(HITSアルゴリズム)
利用者を変化させる情報
次に考えたいことは「どのようなコンテンツであれば先述のような評価を引き出すことができるか」ということです。実際のコンテンツ作りにおいては、ここが最重要のポイントになるでしょう。この項のポイントは利用者の変化にあるのですが、その前に「情報」についての考え方を整理します。
認知科学の分野においては、情報を「受け手の知識に変化を及ぼすもの」と定義します。それまで知らなかったことを新たに知った、というときの「新たに知ったこと」が情報であるという考え方です。
検索という行動は「知らないことを知る」ために行うものであるため、ここではこの認知科学の考え方にならいます。この考え方の重要な点は、主体があるのは情報ではなく情報の受け手の側であるというところにあります。
人が新たな情報を受け取ったことによって知識が変化すれば、その知識の変化の結果として、感情や意志、思考、行動、価値観、意識、認識、欲求、関心、意欲などが変化します。この変化が大きい情報ほど、受け手にとってより重要な情報であるとここでは考えます。重要でない情報は受け手に及ぼす影響が小さく、重要な情報は受け手に大きな影響を及ぼす、ということです。
このことをコンテンツに置き換えて考える場合、コンテンツには次のことが求められることになります。
- 発信されている情報そのものに価値があること
- その情報の伝え方が優れていること
- 結果として、利用者を動かす力が強いこと
これらをふまえ、利用者を変化させるという観点からの高品質コンテンツとは、まとめると次のようになります。
- 利用者の役に立つ
- 利用者に対して何らかの価値を提供していて、検索結果に表示される他のページより役に立つ
- 内容を把握しやすい
- わかりやすく内容を伝えるためのきちんとした構成がとられており、最後まで読み通すことができ、一義的に内容を理解することができる
- 具体的で結論がある
- とりとめのないものや意味不明のものではなく、伝えたい具体的なメッセージや結論がある
- 利用者の関心に沿っている
- リンケラティを含む対象者の関心に沿っている。キーワードで上位表示することだけを目的に書かれたものではない
- 時宜を得ている
- 年中行事や時事問題のような、利用者の関心が高まったり話題が広がったりするタイミングに合わせてコンテンツが発信されている
- 印象的で力強い
- 画像や動画などの視覚的要素が効果的に使われていたり、メッセージを強く訴えかけるような展開が構成されているなど、利用者の変化を力強く後押しする工夫がされている
- 行動に移させる力がある
- 自分と似た関心のある人々にとってもそのコンテンツが役に立つと考え、実際に共有という行動に移させる力を持っている
機械的処理によるコンテンツ品質の評価
ここまではコンテンツが人間の利用者にどう受け入れられるかということ(人間の利用者による評価)を中心とした説明でしたが、もっと基本的なことであれば、潜在的意味索引(LSI: Latent Semantic Indexing)やパターン認識などの技術を使って、コンピューターがコンテンツの品質を分析することも可能です。
もちろんこの処理も最終的には人間の利用者にとってよい検索結果を提供するために行われているものですから、コンテンツ作りにおいてこれらを意識することは重要です。この観点からの高品質コンテンツとは次のようなものです。
- 独自のものである
- 文字列が他と異なっているというだけではなく、内容そのものが、調査や取材に基づく分析、論考、新たな視点、深い見識などの独自の情報で構成されている。既存のコンテンツのコピーやバージョン違い、単なる書き直しではない
- 個々のページがサイトの中心的テーマに沿っている
- サイトのテーマが明確であり、サイト内のそれぞれの記事に関連性がある(サイトテーマ)
- 文章量が適切である
- 少なすぎたりほとんどなかったり、または極端に多すぎたりしない。その話題について述べるのに適した量の文章が書かれている
- レイアウトが適切である
- 広告やその他の要素ではなく、記事本文にフォーカスしたレイアウトになっている
- 綴りや文法が正確である
- 文章が丁寧に書かれ、きちんと推敲された上で公開されている
- 専門家や愛好家など、その話題に詳しい人物が書き手である
- 有象無象の書き手に書き散らかされたものではなく、その話題について詳しい人物によって記事が書かれている
サイト全体の品質の評価
ここまで述べてきたようなことを満たしたコンテンツを発信し続け、よく管理されているサイトは、サイト全体として高い評価を得ることができます。高評価になるポイントをまとめると次のようになります。
- オーソリティとしてよく知られたサイトである
- 長期間にわたって発信されてきた大量の情報が整理された形で蓄積しており、各記事には多数の参照や共有がなされている
- 豊富な情報量が蓄積されている
- 似通ったテーマを扱う他のサイトよりも、豊富な情報量がある
- 長期にわたる運営実績がある
- 似通ったテーマを扱う他のサイトよりも、長期間にわたって運営されている
- 新鮮である
- コンテンツの追加や改訂が適宜なされている
- 低品質なページがサイト内に含まれていない
- 重複コンテンツ、コピーコンテンツ、内容の薄い記事など、低品質なページがない(少ない)
- よく管理された信頼性の高いサイトである
- リンク切れがなく(少なく)、フィッシングやマルウエアの危険がない