QUESTフォーミュラとは?売れるランディングページの作り方

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売れるLPを作るQUESTフォーミュラ

売れるランディングページの作り方を知って、確実に反応が得られる広告文を書きたい。それを実現するのが、この記事で紹介する QUESTフォーミュラ(QUESTの法則)です。これは海外はもとより、この日本においても、セールスレター制作やランディングページ制作に多大な革新をもたらした、いわば古典のような法則です。

この記事について

この記事のオリジナルである「Want Better Copy? Go On A Quest!1」は2005年12月4日、カナダの首都オタワ在住の Michel Fortin氏2によって公開されました。Fortin 氏のこの記事は、それから20年近く経った今も世界中で読まれ、役立てられています。日本でも「QUESTの法則」とも呼ばれて広く利用されています。

僕とこの文章の出会いは2010年頃で、以来いままで、ずいぶんこれに助けられてきました。僕の専門はSEOですが、売れる販売ページがなければSEOは結果につながりません。そして売れる販売ページを作るためには、見込客の欲望を煽り、強く動機付けすることが必要です。

そのための法則がこの「QUESTフォーミュラ(QUESTの法則とも)」です。しかしこれは有名な古典の法則であるわりに、ちゃんとした和訳が見つかりません。そこで今回僕は Michel Fortin氏にコンタクトを取り、日本語版公開の許諾を得ることに成功しました。氏のご厚意に感謝して、日本語訳を掲載します。

よりよいコピーを書きたい? QUESTに出よう!

ライティングには解決すべき課題が2点ある。それは「書くべきことは何か」ということと、「どのように書くか」ということだ。1点目の課題「書くべきことは何か」という課題を解き明かすことは、「どのように書くか」を考えるよりもずっと困難だ。

「書くべきこと」の正解を導き出すためには当然、多くの調査と創造性、そして時間を必要とする。優秀なコピーライターであり友人でもある John Carlton3はその作業を「販売捜査」と呼んでいる。販売捜査とは、セールスのストーリーの裏付けとなる公正な証拠を見つけ出すことを言う。

書くべきことを見つけることができ、どう語るべきかを理解できたら、次の疑問は「ヘッドライン(訳注:広告のメインとなるキャッチコピーのこと)から始めるべきか、それともヘッドラインは後回しにするか?」だ。

大見出し、見出し、本文。それぞれの役割

新しい広告文を書くときの私のやり方では、まず本文から手を入れ始め、その後で大見出し(訳注:ヘッドライン。ページの最上部に、最も大きく配置される見出し)や見出しを作っていく。

既存の広告文がある場合は別だ。既存の広告文と、質問票にクライアントが記入した回答を読み込んだのち、大見出しから始め、それから残りの本文に手をつける。なぜ既存の広告文がある場合には本文から始めず、大見出しから始めるのか。

なぜなら多くの場合すでに、クライアントの広告文はまずまず良いものに仕上がっている。それでも小さな反応しか取れていないなら、その原因の9割は大見出しの貧弱さにある。大見出しの修正は多くの場合、私が試行錯誤を繰り返すたった一つの要素でもある。

大見出しは広告文を成功させるための最重要課題だ。大見出しで読者の興味を十分に喚起できなかったなら、本文がどれほど優れていたとしても、また製品がどれほど素晴らしかったとしても、また提案がどれほどその人にぴったりだったとしても、人々はそこから先を読むことはない。

このために私は、興味を喚起し次へと読み進めてもらうための釣り針を大見出しに仕込むべく努めるのだ。

販売捜査の仕事を少しした後、クライアントが記入した予備調査票に目を通す。これは通常、大見出しに少し手が加えられた状態で私の手元に届く。最高の反応が取れると思えるものができるまで、私はそれを何回も書き直す。

見込客の流れを作るための要素

見出しは広告文を構成する主要な部分だ。見出しと本文が相互に作用して、読者の理解と好奇心をかき立て、熟読するように仕向けていくのだ。

新しい広告文を作るとき通常、私はアウトライン作りから始める。しかしその時点ではまだ、実際の見出しまでは書かない。伝えたいコンセプトやアイデアがセクションごとにまとまり、さらにその流れができてから、その流れに沿う形で見出しや本文を書く。

私の方法では、広告文を5つの要素に集中する。私が書くもののほとんどはこの型式に沿っている。

これは私流のAIDAの法則4だ。AIDAの法則はあなたも知っているだろう。注意を喚起し(Attention)、興味をひき(Interest)、欲望を焚きつけ(Desire)、そして行動させる(Action)、というものだ。ここで紹介する私の方法は、AIDAの法則に従いつつ、それを補完するものだ。

私はそれを「QUEST」と呼んでいる

  1. Qualify(絞り込む)
  2. Understand(共感する)
  3. Educate(啓発する)
  4. Stimulate(興奮させる)
  5. Transition(変化させる)

QUESTは縦走登山に似ている。一方の斜面から登り、山頂に達し、また別の斜面を下山する。登山と同じように、大きな仕事を成し遂げるときには、厳しい登りの局面と、スムーズな下りの局面という両面があるものだ。私の手によるセールスレターの多くは、こうした縦走登山と同様の特性を備えている。

それでは、QUESTのそれぞの意味について一つずつ解説していこう。

Q = Qualify(絞り込む)

このセクションでは、対象読者を絞り込み、これから始める話題への心構えを作る。そして同時に、見込客でない人や冷やかし客などを除外する。

冒頭で質問することによって、読者が自分のことだと理解しやすいシナリオをお膳立てするといい。例えば、読者が抱えている問題がどれほどひどいかや、その問題が解決できたらどれほど素晴らしいか、といったことを質問するのだ。

ここで明確にしたいのは次のようなことだ。これらをわかりやすく明示してしまってもいいし、ストーリーの中に織り込みながら説明してもいい。

  • その問題を抱えているのはどういう人なのか
  • 提示される解決策はどんな人の役に立つのか
  • その解決策はどんな人には役に立たないのか

このセクションの狙いは、まず読者を特定することだ。そして読者に自分が抱えている問題を自覚させることでもある。さらに重要なことは、ここで語られることが読者にとってまさに自分のため情報だということを、彼らの心に強く印象づけることだ。

これは真実を教える一種の教育である。そもそも最初の問題は、見込客自身が問題に気付いていないことなのだ。見込客も心の奥では問題に気付いているかもしれないが、それを一番の関心事にまで引き上げることが、ここでの私たちの仕事である。

これが次のセクションに進むにあたっての決定的な鍵となる。なぜなら次の項は……

U = Understand(共感する)

読者を絞り込んだら次にすべきことは、あなたがどれほどその読者を理解しているかを示すことだ。読者に寄り添い、結びつき、同情し、共感する。

このためには、問題について詳細に語る必要がある。そうすることで彼らの痛みを煽るのだ。読者にあなたとの一体感を持たせるとともに、現実的で鮮明に問題を強調していく。いわば「傷口に塩を塗る」のだ。

言い換えれば、読者と共に痛みを分かち合い、同じ痛みを感じ、そして、解決策がまったくないか、あってもいくつもの理由で不十分だという状況が、今後さらにより多くの苦痛をもたらすだろうことを警告する。

読者が抱えているその問題のことで、読者の頭をいっぱいにさせるのだ。問題を読者の心の頂上に引き上げる。そしてひとたび山の頂上に到達すれば、あとは楽な下り坂のトレッキングを残すだけになる。

このセクションを、解決策への好奇心を刺激したり、他のものでは得られない恩恵を提示することに使ってもいい。しかしまだオファーの全容を提示してはいけない。この時点で提示してもいいのは、独自のセールスポイントや、あったら嬉しいような恩恵や、後でオファーに結びつくような新しいことや、製品の背後にあるストーリーなどだ。

もし製品の作者が読者と同じような状況を過去に経験していたなら、その事実に基づいたストーリーを付け加える。書き手が過去に味わった苦痛や痛み、苦悩をさらけ出し、それを読者と共有していることを示すのだ。それによって信頼が築かれるとともに、読者が読み続ける理由となる。

著者に対する仲間意識を持たせるのだ。読者に著者と一体だと感じさせる。理解されているという感触を与える。すると読者は「同じように感じたよ」または「同じ轍は踏みたくないな」と考えるだろう。あとで解決策を紹介するとき、これらのすべてが結びつく。

そして、このセクションで作り上げた共感が、読者を次のステップに導く。次のステップは……

E = Educate(啓発する)

このセクションでは、読者に解決策を啓発する。

ここで自分の製品やサービスを紹介する。しかしまだ売り込まない。解決策が存在するだけでなく、他のどんなものよりも優れているということを丁寧に説明する。ここが広告文の中心部であり、言うならば販売という山の頂上にあたる。

「U」のセクションで構築した信頼を、このセクションでさらに強調する。読者を納得させる証拠となるものを数多く並べ、信憑性を高めるのだ。これには著者が傾聴に値するということの証明も含む。製品またはサービスの特長を語り、あらゆる誤解を払拭し、あらゆる買わない理由に応酬する。

そしてまたここには、視覚的な証拠となる要素、デモ、ケーススタディ、テスティモニアル(消費者や有名人による推薦文)を追加する。事実、私はこのセクションに到達するより前にテスティモニアルを掲載することはしない。

なぜなら、早い段階で提示されたテスティモニアルは「これは売り込みだ」と主張し、読者に敬遠されてしまいやすいからだ。多くの場合、お客さまの声は宣伝文の後半に提示することで、反応は増加する。

(当然これは、読者が購買プロセスのどの段階にいるかによって変わる。読者が自分の問題を強く認識しているなら、テスティモニアルを早めに持ってきても差し支えない。これによって反応が上がったことも少数だがある)

ひとたび読者らが啓発されてしまえば、次のステップは……

S = Stimulate(興奮させる)

このセクションでは読者をオファーに興奮させる。ここは販売の大部分を実際に行う部分であり、ここでの「S」は「Sell」の略でもあると言える。

オファーを提示し、その価値を売り込む。ベネフィットを列挙し、詳しく説明する(製品の特長の説明は「E」のセクションで開始したが、このセクションで話すことは、ただひたすらベネフィットについてだ)。そして「E」のセクションで説明した特長にそれらのベネフィットを結びつける。

ここでオファーの全容が明らかになりはじめる。さらに、オファーに追加の価値を付け加える。例えば、特典を付けたり、保証を付けたり、希少性を強調したり、同じように見えて異なるものと比較したりする。

同じように見えて異なるものとの比較とは、代替品との価格を比較することではない。購入する場合に支払う価格と、購入しなかった場合にかかる最終的なコスト(経済上のコストかどうかに関わらず)を比較することだ。

言い換えれば、あなたのオファーの価値と、類似や競合の製品の価値とを比較するのではなく、買わないことで失う潜在的な機会や、金銭的な損失や、製品を使わなかった場合にかかるコストの総額、といったものを含めたあらゆる選択肢と比較するということだ。

このセクションで、ここまでの各セクションとオファーを結びつける。「Q」で言及した問題に再び触れ、「U」で述べた解決策がどれほど効果的か説明し、「E」で説明したすべての特長とベネフィットをオファーと結びつけるのだ。ここまでの伏線を回収する作業と言ってもいい。

読者はあなたが持っている解決策に興味を示し、問題解決に近づいた感触に興奮しているだろう。そうなったら次は……

T = Transition(変化させる)

このセクションで読者を見込客から顧客へと変化させる。クロージングやコール・トゥ・アクションを担うセクションだ。これは反応をとるための装置、最後の取りまとめだ。

ここには注文フォームを置き、定価、実際の(値引き後の)売価、追伸、追加のテスティモニアル(とりわけ結果に基づく声)などを配置する。そして何よりも、読者がすでにその製品を所有しているかのように感じさせることは重要だ。それが欲望に火を付け、行動を喚起する。

ここで確実に売り込みを取りまとめなければならない。さらに行動を煽るために、返金などの保証について話したり、新たなベネフィットや限定のボーナスを追加するなどして、オファーに色を付ける。退路を断ち、最後の一押しをするのだ。

(私はまた最後の一押しとして「今日は注文しないと決めた場合でもこちらをクリック」などといった文言を使った囲みやポップアップによるメッセージを追加したりする)

さて、私はたった今説明したことを、常に正確に履行するわけではない。なぜなら……

QUESTはガイドであって、目標や規則ではない

私は通常、広告文の概略となる最初のアウトラインを作成するときにQUESTで始める。見直しもする。しかしアウトラインができてしまえば、私はそれぞれのポイントに注目するとともに、最善と思われる流れに身を任せてしまう。

私はまた、アウトラインと同時に見出しのアイデアも書く。必要に応じて、よりよい流れになるようにそれらのアイデアを再配置する。そしてQUESTに収まるかどうかを見ながら見出しを書く。そのとき、次のすべての点に注意する。

  1. 見出しには新しい情報を含める。具体的かつ描写的で、興味を喚起し、好奇心をかき立てる要素を備えるようにする。
  2. 見出しでそれに続くセクションの内容を簡潔に紹介する(先行する文を読んでいない人にも意味が分かるようにし、わかりにくさのせいで人々を離脱させてはいけない)
  3. 好奇心を刺激する見出しで読者の目を引き、走り読みを阻止して本文に集中させる(初めて広告文を目にした人は見出しだけにざっと目を通すものだ)

新聞の見出しのように、見出しで本文へと読者を導くのだ。登山の例えで言えば、見出しはロープにおける結び目やカラビナのようなものだと言える。なぜなら、それは滑り止めのように働き、人々が滑落するのを防止するものだからだ。そして本文に引き戻す。または、広告文にしがみつかせ、読み続けさせる。

見込客を動かす「流れ」を意識する

最後に、自分自身にQUESTフォーミュラを強制しないことだ。適切な流れを持った広告文を作るガイドとして使えばいい。

山に様々な形や大きさがあるのと同じように、見込客の購買意欲にも様々な段階がある。登る山に応じて違った登り方が必要だ。そして地点によって見える景色も変わる。しかしどんな登山にも3つの共通点があることは覚えておいてほしい。それは以下の3点だ。

  1. 上りセクション
  2. 頂上セクション
  3. 下りセクション

宣伝文にも、これと同じ流れを持たせなければならない。すなわちそれは、以下のような流れだ。

  1. 見込客を引き込む(Pull them in)
  2. 提案の正しさを証明する(Prove your case)
  3. 行動に駆り立てる(Push them to act)

私はこれを「3つのP」と呼んでいる。が、その話はまた後日機会があれば……(訳注:許可を得ましたのでそのうち翻訳します)

補足と解説

翻訳はここまでです。ここで紹介したQUESTフォーミュラは、いわゆる「セールスレター」型の商品紹介ページに使われるもので、パーチェスファネルやカスタマージャーニー、ZMOTなどに代表される購買行動モデルを最短で進ませるための方法論です。一般的には、縦長のランディングページを作るノウハウとして利用されています。

とはいえ、売れるページにする必要があるのはランディングページだけではありません。普通の短い商品紹介ページにこのQUESTフォーミュラのエッセンスを取り入れるのもいいですし、サービス紹介ページにも有効でしょうし、リード獲得のためのお問い合わせページや資料請求ページにも有効でしょう。

売れる商品ページ、売れるサービス案内ページを作るために、もちろん売れるランディングページを作るためにも、このQUESTフォーミュラをうまく使いましょう。素直に構造をなぞるのもいいですし、エッセンスだけ取り入れるだけでも大きな違いを生むはずです。

脚注

  1. Want Better Copy? Go On A Quest! | Michel Fortin ↩︎
  2. About Michel Fortin | Visibility Marketing & SEO Consultant ↩︎
  3. John Carlton ↩︎
  4. AIDA (marketing) – Wikipedia ↩︎