サイトのテーマ性と専門性 – テーマ特化でSEOを強化する

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サイトテーマのSEO

サイトテーマ(またはテーマテクノロジー)とは、共通したテーマ性を持つWebサイトやそれらのつながりに高い評価を与えるスコアリングアルゴリズムです。類似のテーマに関連するキーワード群を含むページ間のリンク関係に着目し、内容に関連のあるページからの被リンクに強い重み付けをすることで、ある特定のテーマに特化した専門的なサイトやページを検索結果の上位にランキングすることができます。

テーマテクノロジーとは

検索エンジンがキーワードとWebページの適合度を測る指標の1つに、テーマテクノロジーがあります。類似のテーマを持ったWebページ間のリンク関係に着目し、内容に関連のあるページからの被リンクに強い重み付けをします。この結果、より専門性と信頼性の高いWebページを上位表示することができます。大まかな仕組みは次の通りです。

  1. リンクポピュラリティの算出において、Web全体を対象にするのではなく、検索者が入力したキーワードに関連したテーマを扱うページ群だけを対象にして算出する。
  2. これにより、特定のテーマを持ったWebページ群の中でよく参照されているWebページ(重要性や信頼性が高いと考えられる)を抽出することが可能になる。

Webページのテーマは、共起語1やシソーラス2や関連語3などの辞書を用いて、関連する単語が含まれるページを一連のグループと判断することで抽出します。そうした共通のテーマを持ったページ同士のリンク関係をさらに解析することによってより精度の高い検索結果を実現します。

ページ内要因によるテーマの判断
Webページ内に高い頻度で出現するキーワード群をもとに、そのWebページのテーマを抽出します。具体的には、title要素h要素アンカーテキスト本文などの中で共通して出現するキーワードやその関連語がテーマとして扱われます。
リンクによるテーマの類推
共通のリンク元を持つ複数のWebページは、共通するテーマに基づいた関連性があるとみなします。そうした共通したテーマを持ったページ群の中でより多くの被リンクを得ているページを探すことで、より重要なページを高い精度で見つけることができます。

テーマテクノロジーの初期、WiseRankについて

サイトテーマやテーマテクノロジーと呼ばれる検索アルゴリズムが注目を集めたのは、2001年に公開され、Googleキラーとして注目を集めた検索エンジン「WiseNut」に実装されていたWiseRankの革新性にありました。以降、他の検索エンジンにも同様の技術が実装されたと言われています。

Google の PageRank がクエリに依存しないページ固有の価値を算出する技術だったのに対して、WiseNut の WiseRank は、クエリと連動した演算を行っていました。当時の発表では、以下のようなスコアリングを行っていたとされています。

  1. 検索キーワードに一致するページ群を抽出する
  2. 抽出したページ群の中でのリンクポピュラリティを計算する
  3. リンクポピュラリティとテキストマッチをもとにランキングを決定する

上記のプロセスの中で特徴的なのは、リンクポピュラリティの計算を行う際に、共通したテーマを持ったページ群だけを対象にし、テーマの共通しないページ(FFAリンク集など)は除外するところです。また WiseRank は、クエリが与えられて初めて各ページに割り振られるもので、同じページであってもクエリが違えばWiseRankは変動するというのも特徴的でした。

残念ながらWeb検索エンジンとしてのWiseNutは使命を終えてしまいましたが、その技術は他の多くの検索エンジンによって継承され、より洗練された形で実装されています。

サイトテーマを最適化する方法

サイトテーマはキーワードとリンクから類推されるものですので、これを最適化するためには、サイト内で使用するキーワードとサイト内のリンク構造を適切に調整することが必要です。またそもそも、ある程度テーマを絞り、専門性に特化したサイトとして企画しておくことも重要です。

なお外部からの被リンク獲得はサイトテーマの最適化にとって最重要の課題ですが、特に何らかの方法で最適化するまでもなく、被リンクを集めれば集めるほどテーマを強化するものと考えられます(自動的にリンク元や共通するリンク元を持つ他のページと関連づけられます)ので、ここで説明する最適化の方法には含めません。

サイト内で使用するキーワードの最適化

ある程度テーマの絞られたサイトであれば、特に配慮なくコンテンツを記述していても、相互に関連性のあるキーワードがサイト全体にちりばめられ、テーマに最適化された状態になるのが通常です。むしろ、そうして使用されたキーワード群が検索エンジンによって関連するキーワード群として認識されるというのが本来の順番です。

しかし少し近道して、作為的に関連キーワードをちりばめるのであれば、すでに検索エンジンが関連のあるキーワード群に属すると認識しているキーワードのリストを取得し、それらのキーワードをサイト内で使用することで、意識的にサイトテーマを強化することが可能になります。このとき使用できるツールには次のようなものがあります。

  • 広告キーワードツール – Google広告のキーワードプランナー4のような広告キーワードツールを使えば、関連する検索語の一覧を取得することができます。
  • 検索エンジンのキーワードサジェスト – GoogleやBingなどの検索エンジンでは、検索窓や検索結果で関連キーワードが提案されます。これを使うことにより、関連する検索語を調べることができます。

これらのキーワードを元にコンテンツを企画したり作成したりすれば、テーマテクノロジーへの対応を容易に行うことができます。ただし、こうしたツールに頼り切れば、誰もが似たようなサイト構成やコンテンツ案ばかりになって差が生まれないことには注意が必要です。自分たちの強みにきちんと目を向け、差別化でき、勝てるコンテンツを作っていきましょう。

サイト内のリンク構造の最適化

サイトテーマでは、共通のリンク元を持ったページやリンクで直接的に結ばれたページ間の関連性に着目します。これを利用してサイト内のリンク構造を最適化する方法としては、次のようなアプローチが考えられます。

  • コンテンツを似たテーマごとに分類し、それらをピラミッド型にまとめたヒエラルキー型のサイト構造にする
  • Wikipediaに見られるように、文中に出現するキーワードでのリンクを多用することで、ページ間の繋がりを強化する
  • ブログなどのCMSに見られるタグ分類(タギング)を使って、カテゴリの木構造(ヒエラルキー型)の情報分類とは別に、関連キーワードまたは関連コンテンツによるナビゲーションを実装する

具体的には下図のように、階層構造を基礎にしながら連続構造と網目構造を併用する形でナビゲーションを設計するのが最適解でしょう。もちろんサイトの種類や目的によって最適な形は変わりますが、一般的なサイトにおいてはこの形がベストといえます。なお、より先進的な形としてトピッククラスターと呼ばれる構造もあります。

3種類の情報構造を併用した例

まとめ

SEOを実施していくにあたり「専門性に特化したサイトが有利である」とはよく言われることですが、それはこのページで紹介したテーマテクノロジーによる効果です。サイト内の関連コンテンツ同士をリンクし、外部の関連ページから被リンクを受け取れば、テーマはより強化されます。やるべきことは次の通りです。

  • 特定のテーマに特化した専門的なサイトにする。
  • そのテーマの共起語やシソーラスや関連語がほどよく含まれるコンテンツ構成にする。
  • 特につながりの深いコンテンツ同士をリンクする形のナビゲーションを実装する。
  • 同様のテーマを持った外部のWebページからの被リンクを集める(そのためにコミュニティ内での社交も行う)。

注意として、あまり神経質になりすぎる必要はありません。悪い例として、弁護士事務所が依頼内容ごとにサイトを分割したり、ECサイトが商品ジャンルごとにサイトを分割するようなケースをよく見かけますが、これらは「やりすぎ」です。むしろサイトを分割することにより、被リンクから得られるテーマ性を毀損している可能性すらあります。

テーマテクノロジーで言う「テーマ」とは、「法務」や「物販」といったある程度の広さを持っていて構いません。その会社が扱う商品やサービスの組み合わせそのものがその会社の専門性であり、他社との差別化要因になることはあり得ます。自社の状況をよく分析し、自社ならではの専門性を出していくようにしましょう。御社の専門性はどこにありますか?

脚注

  1. 共起とは 「コロケーション」 (collocation) きょうき: – IT用語辞典バイナリ ↩︎
  2. シソーラス – Wikipedia ↩︎
  3. 「関連語(かんれんご)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書 ↩︎
  4. リサーチツールを使って適切なキーワードを選びましょう | Google 広告 ↩︎