Webサイト上でのコミュニケーションは、ユーザーがそのサイトを訪れる目的にフォーカスし、ユーザーの目的をより便利に簡単に達成できることが最初の一歩です。ウェブサイトの運営企業側からすれば、コミュニケーションよりも一方通行のメッセージの配信を意図していることも多いものですが、ユーザーの目的と企業の意図のという葛藤の中で僕たちの役割は、ユーザー側に軸足をおいた調整役なのかもしれません。

ユーザーの目的を満たす要件

ユーザー視点では、ユーザーは何か目的があってそのサイトにアクセスするわけですから、その目的を達成することがユーザーにとっての一定のゴールとなります。ユーザーが目的を達成できてはじめて、コミュニケーションが成立します。でも、「ユーザーは何のためにそのサイトにアクセスするのか」「どんな便益が得られるのか」というあたりが明確になっていないサイトがあまりにも多い。

ユーザーの目的には、商品やサービスを購入する、コミュニティや団体に参加する、情報を取得する、遊ぶ、などがあり、それらはサイトやコンテンツによって変化しますが、とにかくユーザーがそれらの目的を、より便利でおトクに達成できることが、つまりコミュニケーションを成立させる最低限の条件です。そうであれば、Webサイトがコミュニケーションを実現するためには、次のような要件が必要になると僕は考えます。

  • 対象者の目的に合致する有用な内容があること(コンテンツ・ベネフィット)
  • 利用者に望ましい体験と記憶を残すこと(マーケティング・デザイン)
  • 適切な対象者にきちんとリーチすること(広告・広報・クチコミ)
  • 利用者の環境や能力に依存しないこと(アクセシビリティ・ユーザビリティ)

これらの要件は、どれか一つが欠けてもサイトは機能しませんから、どれも重要なものです。これらをバランスよくカバーすることができないと、例えば、差別化されたエクスペリエンスにこだわり過ぎて環境依存の強いサイトを作ってしまったり、イメージを重視しすぎてユーザーに何をしてほしいのか目的のさっぱり見えないサイトを作ってしまったり、何のベネフィットも提供しないブランディングサイトに広告費をかけてユーザーを誘導するようなことをしてしまったりするようです。これではコミュニケーションも何もあったものではありません。

目的を達成できるだけでなく、より優れた体験を

そのサイトが提供するベネフィットについては特に、競合よりも優れている必要があります。Webサイトは一つではありませんし、比較も移動も容易だからです。より劣ったサイトにアクセスしたいと考えるユーザーはいないでしょう。ユーザーは、他の要件が同じく満たされているなら、より高いベネフィットを提供してくれるサイトを利用します。ベネフィットが優れていなければ利用してもらえず、利用してもらえなければコミュニケーションは成立しません。これはユーザビリティ以前の問題です。

当然、ユーザーが享受できるベネフィットが存在しない、または非常に劣っている、というようなサイトは論外です。ユーザーのベネフィットに関係なく、一方的に何かを押しつけたいのであれば、それはマス広告かスパム(マス広告とスパムは同義だと僕個人的には思っています)でやればいいことで、一方的な押しつけはWebサイトでやるべきコミュニケーションではありません。

企業サイトを一方的なメッセージの押しつけにしない

冒頭で述べた「ユーザーの目的」という視点に立ち返れば、その目的に対して、競合サイトよりも優れた結果が得られることが、理想的なコミュニケーションの鍵になるでしょう。ユーザー視点を欠いたサイトに存在意義はないのです。しかし企業側は、消費者に一方的に押しつけたいメッセージを持っていたりするのも事実。

そこは僕たちプロフェッショナルが企業とユーザーの間に入り、ユーザーにベネフィットを提供することを第一義に、ユーザーの目的に合ったよいコミュニケーションを実現するようなサイトになるように調整役を引き受けていきたいものです。

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