Googleの厳しい取り締まりを受けて、いまや文化としての相互リンクは絶滅の危機に瀕しています。多くのウェブマスターはペナルティを恐れ、リンクすることにもされることにも神経質になっています。しかし正しい方法で実施すれば、まだまだ相互リンクは助け合う力として機能します。

ウェブ黎明期における相互リンク文化

自分がサイトを運営している立場であれば、知人や友人、取引先などのサイトを応援したいと考えることはごく自然なことでしょう。知人や友人のように特段の利害関係のない相手でもそうですし、家族や取引先のように利害関係のあるものならもちろんです。その応援がリンクの形をとることも当然あるでしょう。

自分のサイトで相手のサイトをおすすめすることで、自分のサイトの読者が相手のサイトを知ったり訪れたりする機会を作る(実トラフィックを送客する)と同時に、検索エンジンが相手のサイトを評価する際に少しでもプラスに働くことを期待する(リンクポピュラリティを送る)というのは、ごく自然な善意の行動です。

また、そうした形で応援を受けたほうからすれば、微力ながら恩返しをしたいと思うこともまた自然なことであり、相互リンクはこうして完成しました。相互リンクはかつて、純粋な善意と人助けの精神だけに基づくものであり、商店主が自作で始めたサイトや、個人の弱小サイトなどにとっては、欠かすことのできないものでした。しかしそれは1990年代までの話です。

ペナルティの対象として忌避される状況へ

Google日本語版がリリース(2000年)された翌年にあたる2001年からPageRank操作を目的とした相互リンクが急増していきました。2006年頃からは、特に過密な相互リンクはペナルティの対象となり、2008年頃にはリンク先サイトのジャンルに統一性のないリンク集がペナルティの対象となりました。

そうしてリンク周辺の取り締まりはだんだんと厳しくなっていき、相互リンクにとっておそらく最後の打撃になったのが、2010年頃から今に至る手動による対策と、2011年に始まり2012年に大量に送信され、2017年現在も続いている不自然リンクの警告でしょう。

こうした一連の動きによって疑心暗鬼になったサイト運営者たちは、今では外部サイトにリンクすることをできる限り避け、また、外部から受けたリンクをサーチコンソールで確認して問題のありそうなものを否認する(2012年以降)など、非常に神経質になっています。しかも、その状況は無理もないものです。

以下は、あるサイトへの手動によるスパム対策が適用された際に、実際に不自然なリンク元の例としてGoogleが示したものです。1枚目の画像はPageRankの転送を目的とした相互リンク集、2枚目の画像はごく自然なお友達リンク集、3枚目の画像はよく手入れされたお気に入りリンク集です。

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上記の1枚目の画像ような明らかなリンクスパムが数多く見られたために、2枚目や3枚目の画像のようなごく普通の、何ら悪意のないリンク集までが、リンク元、リンク先ともにペナルティの対象となってしまっているのが現状です。これでは疑心暗鬼になるのも当然、発リンクも被リンクも関係なく、リンクそのものを避けるようになるのも自然と言えます。

絶対に避けるべき相互リンクのパターン

相互リンクに関して避けるべき危険なパターンは、大まかには「外部サイトのリンク集ページからリンクされること」と「自分のサイトにリンク集を設置すること」です。いずれにしてもここで問題にしているのは、相互リンクになっているかどうかではなく「リンク集ページの存在」のほうです。回避すべき例を以下に示します。

  • 他のサイトの相互リンク集ページからリンクを受けることを回避する
  • 他のサイトのお気に入りリンク集ページからリンクを受けることを回避する
  • 自分のサイトに相互リンク集のページを設置することを回避する
  • 自分のサイトにお気に入りリンク集のページを設置することを回避する

リンク集の内容や質がどのようなものであれ、他にコンテンツのないリンク集ページは、そこからリンクされるのも、自分のサイトにそれを設置するのも危険です。何らかの形で相互リンクを考えるにしても、上記のリストは必ず守ってください。

またこの記事の主題からは少しずれますが、上記のようなパターンを避けるだけでなく、リンク関連のリスクを回避するためには、以下のようなリンクプログラムに該当するリンクは回避しなければなりません。

  1. 外部リンクを販売する業者からリンクの購入を避ける(すでに購入してしまった場合は契約を解除してリンクを削除してもらい、リンクの削除ができない場合にはリンクの否認をする)
  2. テキストリンク広告(rel=”nofollow”のないもの)の購入を避ける
  3. 自動登録リンク集への登録を避ける(すでに登録してしまった場合はリンクを削除するか、自分でリンクの削除ができない場合にはリンクの否認をする)
  4. ディレクトリサイトへの登録を避ける(すでに登録してしまった場合はリンクを削除するか、自分でリンクの削除ができない場合にはリンクの否認をする)
  5. 掲示板(フォーラム)やブログのコメント欄などに宣伝書き込みを繰り返さない(すでに書き込みをしてしまった場合はリンクを削除するか、自分でリンクの削除ができない場合にはリンクの否認をする)
  6. 金銭や商品を見返りにrel=”nofollow”のないリンクを提供しない(すでに登録してしまった場合はリンクを削除するか、aタグにrel=”nofollow”を指定する)

なお上記6に関しては企業から無料で提供された商品をブログでレビューする際のベスト プラクティスを参考にしてください。

結果として相互リンクになっても問題ない方法

すでに述べたように、それが相互リンクであるかどうかに関わりなく「リンク集」の設置はリスクです。知人や友人、取引先のサイトを紹介する場合、一つのページにたくさんのリンクを掲載するリンク集の形態ではなく「相手のことを読者に紹介する記事」の形式をとることが欠かせません。具体的には次の通りです。

  • ある一人の知人や友人、または一つの取引先のサイトを紹介するために、その人や会社のために独立したブログ記事を一つ用意する
  • リンクしたい相手が人物の場合、リンク先の人物の紹介や、その人物との共通の趣味など、自分と相手の関係性を明示しながらブログ記事を書く
  • リンクしたい相手が会社やお店の場合、リンク先の会社やお店の紹介、先方が扱う商品やサービスの紹介など、読者に知ってほしいことを書くとともに、社長や店主と自分の関係も明示する
  • トップページへのリンクよりもディープリンクを中心にする。具体的には、ブログの個別記事のページ、プロフィールのページ、会社概要のページ、商品ページ、サービス案内ページなどをリンク先に使う

この方法であれば、他に問題(内容が薄かったりコピペだけだったりのような)がない限り、相手のサイトにリンクすることも、またはリンクされることも問題ありません。この形式でお互いに紹介し合う形での相互リンクであれば、現在でも十分に相互リンクのメリットを享受することができます。

しかしこれだけではベストとは言えません。上記のような単なる相互紹介のような形よりも、リンク先の相手をもっと強力に支援する方法もあります。それはお互いに言及記事を書きあうという方法です。

最も望ましいのは言及記事を書きあう方法

最もよい形は、先方にブログがあれば、その中の特に興味深い記事を探し、その記事を引用して言及する記事を書くというものです。この形はオンラインにおけるごく通常の意見交換やコミュニケーションの形式であり、まったく自然に行われるものです。したがって不自然リンクを疑われる心配はありません。

しかもこの方法では、お高いの記事の内容に関連性が生まれるため、自分のブログの読者を相手のブログに連れて行く効果と、リンクポピュラリティを送る効果の両方が高いレベルで実現できます。応援したい相手に対しての行動としては、おそらく最も洗練された形と言えるでしょう。

この方法はブロガー同士の交流ではごく普通に実施されており、以前からよく「サイトへの集客は難しいがブログでの集客は簡単」といわれる理由です。ブログでは、記事に対して言及する記事を書くという形でブログ間で読者を送り合うことができるため、交友範囲の広い社交家の社長さんなどはブログ集客がうまくいきやすいのです。

悪意のないリンクまで排除される世界に思うこと

この記事を書いたのは、複数のクライアントのサイトに向けられた「善意のリンク」を数多く否認する作業をいくつか連続で実施したことがきっかけになっています。この記事中で紹介した3枚の画像のうち、1枚目の画像にあったような明らかなスパムリンクはともかく、2枚目や3枚目の画像にあったようなリンクに対しても「こんなリンクは要りません」とGoogleに伝える作業です。

Google様のご意向ですから仕方がないこととはいえ、善意のリンクを否認するのは、なんだか他人の善意を踏みにじるようで、いかにも後味の悪いものを感じます。90年代のような牧歌的な世界が戻ってくることはもうないのでしょうが、しかし、リンクそのものを忌避するような現在のあり方には寂しさを感じます。

プロトコル名である「HTTP」や「HTTPS」や、マークアップ言語名である「HTML」の先頭についている「HT」は「HyperText」の略です。ハイパーテキストとただのテキストとの違いは文書間を相互に関連づけする仕組みの有無であり、ウェブにおけるハイパーテキストの根幹はリンクにあります。

できることなら、お互いにリンクし、関連づけ、参照しあう文化が存続してほしいと、個人的には思います。サイト運営者が必要以上に萎縮し、リンクすることもされることも恐れるような現状は、何かしら不健全なものを感じます。正しい方法でリンクを使い、お互いにメリットを享受しながら、助け合っていけるウェブが存続してほしいと思い、記事を書きました。