最終更新: 2011年08月08日 11:19
SEOによるHTML文書の検索性を高める努力は、Webアクセシビリティの向上に貢献します。また同様に、Webアクセシビリティを向上させる取り組みは、SEOによる検索エンジンからのトラフィックを向上させます。
Webアクセシビリティとは
Webアクセシビリティでは、ユーザーがどのようなユーザーエージェントを使用していても、どのような環境下にあっても、すべてのウェブコンテンツにアクセスできることを保証しようと努力します。このような取り組みによって、ウェブサイトはより多くのユーザーにリーチすることができるようになります。
特定のプラットフォームやブラウザに依存しないサイト制作を行うことで、マイナーなブラウザなどを使用するユーザー層を取り込むことが可能になるだけでなく、検索エンジンのロボットに対してもアクセシブルになります。アクセシビリティを向上させることは、単に障碍を持ったユーザーのためになるだけでなく、一般のユーザーに対する営業機会の向上にもつながります。
到達可能性の向上
Webアクセシビリティを確保するための取り組みは、高齢者や障害者のための取り組みだけを指すような文脈でとらえられることが多いものですが、実際には、インターネットユーザーの大多数を占める健常なユーザーにとっても重要な取り組みです。
「アクセシビリティ」は直訳すると「到達可能性」であり、「サイトの中だけで完結する」ことではなく、「どうやってそのサイトに到達(アクセス)するか? また到達(アクセス)しやすいか?」というところまで考えることができればよりよいでしょう。そこで重要な役割を果たすのがSEOです。検索エンジンのロボットにも配慮して制作されたサイトは、検索結果を経由した外部からの「到達可能性」を向上させることができます。
検索エンジンがページやサイトの内容を取得する際に使用するロボット(またはスパイダー)と呼ばれるプログラムや、取得したデータをインデックスに格納するインデクサと呼ばれるプログラムは、HTMLを処理するプログラムという意味で、私たちが日常使用しているブラウザと同種のものです。
一般的なロボットは、テキストブラウザや音声ブラウザのようにウェブページを見るため、SEOの中で行うロボットのための配慮は、テキストブラウザや音声ブラウザのユーザーのアクセシビリティも同時に向上させます。そしてその結果、検索結果を通じてアクセスする多くのユーザーの到達可能性(アクセシビリティ)を高めます。
テキスト情報を活用するメリット
Webアクセシビリティの取り組みは、ユーザーがどのような表示代行手段を使用していても、どのような環境下にあっても、すべてのWebコンテンツにアクセスできることを保証しようと努力します。あらゆるユーザーがすべてのWebコンテンツにアクセスできるようにする最も確実な方法は、すべてのコンテンツに等価のテキストを用意することです。
テキスト情報は特定のプラットフォームやユーザーエージェントに依存しない情報ですので、すべての情報をテキストで表現できれば、ウェブサイトのアクセシビリティは非常に高まります。テキスト情報によるコンテンツ提供には以下のようなメリットがあります。
- テキスト情報へは、画面上で見ることで、視覚的な情報としてアクセスできます。
- テキスト情報へは、読み上げ機能を使うことで、聴覚的な情報としてアクセスできます。
- テキスト情報へは、点字変換機能を使うことで、触覚的な情報としてアクセスできます。
そのサイトにとって重要なコンテンツであればあるほど、特定のブラウザに依存する必要のない形態で表現すべきですが、テキスト情報による表現を行うことで、汎用性・再利用性が高く、アクセシブルで、SEOにも役立つ表現となります。
Webアクセシビリティの向上とSEOの相互作用
すべてのコンテンツに等価のテキスト情報が用意され、Webアクセシビリティに十分な配慮がなされたサイトは、検索エンジンロボットによってすべてのコンテンツ(またはそれと等価のコンテンツ)をインデックスすることが可能になります。
SEOは、サイトテーマやWebページの論理構造、それぞれのWebページ間のリンク構造などを最適化することで、検索性を向上させるための施策を行います。SEOの目的はオンラインマーケティングでの優位性の確保という極めて商業的なものですが、サイト構造やHTML文書そのものをチューニングするというSEOの施策を通じて、Webアクセシビリティに対して以下のように貢献します。
- サイトのテーマを再確認することで、そのサイトのコンテンツに最適な表現形態を模索します。多くの場合、そのサイトにとって重要なコンテンツであればあるほど、特定のブラウザに依存する必要のない表現形態(つまりテキスト情報による表現)が採択されます。
- テキスト情報の論理構造を明確化してマークアップすることで、様々なHTMLパーサや検索エンジンによる機械的な処理を助けます。例えば音声ブラウザ(読み上げブラウザ)などに搭載されている、Webページ内の見出し要素だけを取り出してページサマリーを作成する機能などが正確に動作するようになります。
- リンクに使用される文字列をリンク先のページを的確に表すように最適化することで、例えば音声ブラウザ(読み上げブラウザ)などに搭載されている、Webページ内のリンク文字列だけを取り出してページサマリーを作成する機能などが正確に動作するようになります。
サイト内のすべてのコンテンツを検索エンジンにインデックスさせることができれば、検索エンジンの利用を通じて、到達性という意味でのWebアクセシビリティの向上に貢献できます。これはユニバーサルな情報共有というインターネットの思想をすすめる上で、誰にでもすぐに実行可能なWebアクセシビリティへの取り組みです。
現状のSEOにおける問題点
SEOによるアクセス誘導効果が強力なものであるだけに、現状のSEOの現場ではWebアクセシビリティに対して以下のような問題が散見されます。
- ユーザーよりも検索エンジンを重視
- Webページのコーディングにあたって、検索エンジンのスコアリングに対する配慮を重視するあまり、ユーザーに対する配慮が軽視され、Webアクセシビリティに重大なダメージを与えている例が散見されます。検索エンジンのスコアリングとユーザーに対する配慮は本来同じ到達地点を目指すものであり、矛盾なく両立されるべきです。
- 検索エンジン対策、検索エンジン攻略、という方向性
- SEOを「検索エンジン対策」「検索エンジン攻略」という文脈で捉えるSEOサービス提供事業者が横行しています。SEOサービス提供事業者がHTMLを書くとき、それは検索エンジン対策よりもむしろ、よりユーザーのWebアクセシビリティに配慮したものであるべきです。
このサイトの利用者がアクセシビリティの向上やSEOに取り組む場合、上記のような問題を起こさないように注意していただければと思います。
おわりに
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