検索という行為は、答えを求める検索者が検索エンジンに質問する行為です。これをふまえればSEOは、検索者の質問に対する回答を提供することである、と定義することができます。検索者を中心に考えれば、SEOで大きな成果を生むことは難しくないのです。

SEOの基本的な取り組み

どんなことでもそうですがSEOにおいても同様に、細かな部分に目を向けたり難易度の高い応用に挑戦するよりも以前に、基本を確実に押さえておくことが必要です。SEOの基本的な考え方をごく単純に表現すると次のようになります。

検索とは
検索エンジンに質問すること
SEOとは
質問に対する答えを提供すること

より緻密な施策を実施していくような場合には様々な知識や技能が必要になることもあるでしょうが、そうしたことは基本ができた後の話です。自社サイトのSEOに取り組む場合であれば、自社の事業領域に関連する質問に対して、プロとして回答することがSEOの基本です。

マークアップがどうであるとか、リンク構造がどうであるとか、最新のアルゴリズムがどうであるといったようなことはすべて、検索者の質問にもその答えにも関係のないことであり、末節にすぎません。そうしたことを一切知らなくても、SEOの実施は可能です。

  • 質問を想像する
  • 回答を提供する

SEOに必要なことは、端的には上記の2点だけです。サイト内に蓄積されている回答の質と量を向上させれば、それにともなって検索からの流入はどんどん増えていきます。そして回答の質と量を向上させるために考えるべきことは、大まかには次の3点です。

  • 検索者が質問に使用するキーワードはどんなものか
  • 検索者が質問に至った背後の文脈はどんなものか
  • より正確で理解しやすく丁寧な回答とはどんなものか

SEOが難しくなるのは、質問を想像する能力がない場合や、回答を提供する能力がない場合だけです。つまり、外部の制作業者やSEO業者に任せきりにしたり、内製でも若手社員に任せきりにするような場合がそれに該当します。質問を予測する能力も回答する能力も十分でないために、SEOが難しくなるのです。

回答を用意せずにSEOはできない

検索者の立場で考えれば当然のことですが、検索を実施する場面において、答えの掲載されていないページへのリンクが表示されても邪魔なだけです。このことは検索エンジン側から見ても同じことで、答えの掲載されていないページを検索結果に掲載することは利用者の利便性を損なうと考え、そうしたものを排除しようとします。

検索エンジンに好まれるページとは端的には、検索者が探している答えがあるページです。そのページに答えがないなら、またはその答えが不正確だったり不十分だったりするなら、そのページが検索結果に表示される価値はありません。検索者にとって価値がなく、検索エンジンにとっても価値がないからです。

検索者の質問に対する答えを掲載するというこの単純なことが、SEOの第一歩であり、ほぼすべてです。検索結果に表示される価値のあるコンテンツを作り続ける日々の取り組みがSEOの根幹なのであって、それ以外の末節にとらわれるのは建設的ではありません。

マイナスをゼロにするよりゼロをプラスへ

それほど重要ではないものの、検索者の意図とは無関係なSEOというのもあるにはあります。それは検索エンジンからマイナス評価を受ける要因を減らし、ゼロに近付けるというものです。この取り組みは主に、マークアップの正確性やリンク構造の適切性を高めるようなアプローチをとります。

マイナスをゼロに近付けるこうしたアプローチは、2004年頃までのSEOでは主流でしたが、検索エンジンの性能が向上するに従ってだんだんと意味のないものになり、今では誤差の範囲と言って差し支えないほどです。現在の検索エンジンは、マークアップが少々おかしくてもリンク構造が少々おかしくても、問題なく内容を把握し評価します。

サイト運営者としてSEOを実施していくにあたっては、ほとんど何も成果を生まないマイナスをゼロに近付けるような作業に傾倒するのではなく、大きな成果を生むプラス評価を得るための施策に時間を割くべきです。プラス評価を得るための施策とはつまり、検索者の質問に対する回答を、より正確に、より理解しやすく、より丁寧に、そしてより多く提供することです。

サイト運営者が個々のコンテンツの品質を担保できないサイトの場合、例えばユーザーがコンテンツを作るタイプのウェブサービスのような場合には、マイナスをゼロに近付けるような施策がSEOの中心となるでしょう。これはゼロをプラスにしていくアプローチが取れないために、仕方なくこのアプローチを採用するというだけのことです。

一般的なサイトにおいては、コンテンツの質をサイト運営者が完全に管理することができます。その場合、コンテンツに注力することが最も効果の高い施策です。同じく労力を割くのであれば、より効果の高いことにより多くの労力を割くべきであり、自分でコンテンツを管理しているなら、コンテンツの質と量に注力することがその正解です。

検索意図に沿うことと実装には関係がない

これだけ検索エンジンの性能が向上した今もまだ「SEOに有利なCMSは?」のような話題が定期的に持ち上がります。これはCMSやプラグインの選択が検索結果において有意な差を生むと考える人が今でも一定数存在することを示していますが、まったくおかしなことです。

CMSやプラグインを選ぶことは誰にでもできることです。そのように、誰もが同じものを選ぶことができ、誰もが同じように設定することができるようなことは、有意な差を生むものではありません。マークアップの最適化などについても同じことですが、検索意図との関連性という意味では、実装は本質的な差にならないのです。

自分自身が検索者の立場になって、または検索エンジンの立場になって考えれば自明のことですが、どのCMSやプラグインで運用するかといったことや、マークアップ言語をどれにするかなどということは、検索体験を豊かにすることに対して何ら寄与しません。検索の意図にも検索結果の満足にも関係がないからです。

実装上の細かなことは、検索エンジンの性能が向上するに従って、有意な差を生むものではなくなってきました。その傾向は今後も続くでしょう。そうした有意な差を生まないことに手間や時間をかけるのは、サイト運営者として賢いことではありません。

有意な差を生むことに注力する

では有意な差になるものは何か、ということですが、それこそがこの記事の冒頭から述べてきた「検索者の質問に対する答え」です。答えの品質は有意な差になりますし、量もまた同様に差になります。差を生むことをまとめると、次のようになるでしょう。

知識の深さ
その質問のテーマについて熟知している人物による回答と、無知な人物による回答では、品質に有意な差が生まれます
かけた手間
回答をより正確でわかりやすく丁寧なものにするために投入した手間の多寡は、品質に有意な差を生みます
回答の量
より多くの質問に答えれば、それだけ多くの検索者の目に触れることができ、回答の少ないサイトに対して有意な差を生むことができます

同じ時間と手間をかけるのであれば、より大きな差を生むことを優先して取り組むべきです。小さな差しか生まないことに時間や手間を投入すれば、結果もそれに応じて小さなものにしかなりません。しかし大きな差を生むことに注力すれば、大きな結果を手にすることができます。

検索者の意図に注意深く思いを巡らせ、知識を総動員して回答することの繰り返しが、大きな差を生むSEOであり、プラスの価値を付け加えていく日々の取り組みとなるものです。この基本を確実に実施していくことを忘れるべきではありません。