コンテンツ企画とキーワード選定 – 見込客をSEO集客する方法

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コンテンツ企画とキーワード選定のSEO

コンテンツ企画とキーワード選定はSEOにおける最重要課題のひとつです。この記事では中小零細企業が運営する一般的な商用サイトに焦点をあて、潜在客が直面している課題や問題、悩みや困りごとについての詳細な情報と解決策を提供するコンテンツの企画と、そのキーワード選定について解説します。

コンテンツ企画とキーワード選定

SEOのコンテンツ企画とは、これから作成するべきコンテンツを列挙するプロセスです。コンテンツは見込み客の質問に対する答えとなるもので、かつ有用で高品質なものである必要があります。そして答えていくべき質問とは、自社の見込み客が抱えている問題や課題、悩みや困りごとについて、見込み客の次のような情報ニーズに応えるものです。

  • 課題を深く知るための詳しい情報がほしい
  • 簡単には答えの出ない疑問や質問に答えてほしい
  • 効果的で現実的な解決策を教えてほしい

上記のような情報ニーズに応えるコンテンツを、その道の専門家として恥ずかしくない内容と品質で作成すれば、検索エンジンを通じて見込み客を誘引することができます。そして見込み客にコンテンツを見せることで、専門家としての信頼を獲得し、顧客へとコンバージョンさせるのです。

またSEOのキーワード選定とは、コンテンツを探すためにターゲットユーザーが使いそうなキーワードまたはキーフレーズを選ぶプロセスです。ターゲットユーザーの語彙をキーワードに選ぶことで、ターゲットユーザーを的確に誘引することができます。ターゲットユーザーの語彙は、日頃の問い合わせや相談などから知ることができます。

またキーワード選定では、検索ボリュームの大きさを最重要視することを避け、主としてロングテールのキーワードを狙います。絞り込まれた具体的なキーワードほど有望な見込み客を連れてきますし、検索結果での上位表示も速く確実だからです。コンテンツの一つ一つはロングテールでも、数が集まれば十分な量の検索トラフィックが得られます。

手順

一般の商用サイトのSEOでは、キーワード選定は後回しにすることが非常に重要です。まずはコンテンツで扱うトピックの範囲とターゲットを決め、次いで個々のコンテンツのトピックを列挙してコンテンツ案を考え、個別のコンテンツに集客するためのキーワードを選定し、実際のコンテンツ作成に移ります。それぞれの作業の内容は次の通りです。

  1. トピックの範囲を決める – コンテンツで扱うトピックを、自分に十分な知識と経験のある範囲に絞ることで、それらの情報を求めるユーザーを十分に満足させる高品質なコンテンツを提供することができます。
  2. ターゲティングする – 前項で定めたトピックの範囲内で、課題や問題、悩みや困りごとに直面している人をターゲットにすることで、役立つ回答や解決策を提供することができ、信頼感を醸成することができます。
  3. コンテンツを企画する – 潜在客の悩み、困りごと、疑問、課題のうち、自社の製品やサービスが解決策になり得るトピックを洗い出し、それらについて専門家として詳しく説明するとともに解決策を教えるコンテンツを企画します。
  4. キーワードを選定する – 前段で企画した個々のコンテンツごとに、そのコンテンツを探すときに潜在客が使いそうなキーワードを考えます。絞り込まれたロングテールのキーワードを選定することで、より的確にターゲットにリーチできます。
  5. コンテンツを作成する – ありふれた内容ではなく、特有の経験や独特の視点が盛り込まれた独自性の高いコンテンツを作成し、タイトルタグや本文にキーワードを含めれば、ロングテールのキーワードなら検索での露出は難しくありません。

トピックの範囲を決める

コンテンツで扱う課題や問題、悩みや困りごとはすべて、あなたが提供する製品やサービスによって解決可能なものにする必要があります。また、あなたが十分な知識と経験を持っている専門分野のトピックについてだけ扱うべきで、未経験だったり専門外だったりする分野のトピックは扱うべきではありません。理由は次の通りです。

  • 自社の製品やサービスが解決できないトピックで集めたアクセスでは、コンバージョンにつなる可能性が低い。
  • 経験や専門性や権威性を発揮できないトピックを扱えば、内容が不十分なものになり、信頼を下げてしまう。

このようにトピックの範囲を定めておくことで、コンテンツ企画の精度が高まり、SEOの成功が近づきます。このトピックの範囲の中においてターゲットが直面する課題や問題、悩みや困りごとはすべて、あなたの専門分野の範囲内であり、あなたは他の誰よりも優れた洞察で質問を予測し、回答を準備することができるからです。1

ターゲティングする

SEOのターゲットは、前項で定めたトピックの範囲内で、課題や問題、悩みや困りごとに直面している人々です。この人々が直面している課題や問題、悩みや困りごとは、あなたの専門分野に属しており、あなたが扱っている製品やサービスによって解決が可能なものです。つまり、あなたが熟知している既存客の「少し前の姿」です。

ここで「ターゲットのペルソナ2を設定しましょう」とアドバイスする専門家が多いようですが、筆者はペルソナは推奨しません。それよりも、ターゲットが直面している課題や問題、悩みや困りごとの背後にある文脈や、それらを解消することによってターゲットがなりたい姿のほうを洞察することを薦めます3。理由は次の通りです。

  • 居住地や年齢や収入といったデモグラフィック情報は消費者の傾向を分析するには便利ですが、ターゲット層に属する個々の人々が抱えている課題や問題、悩みや困りごとの原因は統計上の属性ではありません。
  • 企業間取引(B2B)の場合、担当者のペルソナは無意味です。担当者が直面している課題や問題、悩みや困りごとにこそフォーカスすべきで、担当者の家族構成や持ち家の有無は作成するコンテンツに影響しません。

何らかの属性に当てはまる人ではなく、あなたの専門分野に関連した文脈を持った人をターゲットにしましょう。検索エンジンからの集客を考える場合「検索する動機」が必要です。検索する動機とは、その人が直面している課題や問題、悩みや困りごとであり、その背後の文脈や欲求ですこれが検索意図に直結します。

いずれにしても、ターゲットを把握することは極めて重要です。「誰のために書くのか」が定まっていなければ、役立つコンテンツを作ることは不可能だからです。繰り返しですが、筆者のおすすめは文脈や状況や欲求や動機に着目してターゲットを決めることです。これによって「何を書くのか」も簡単に決まっていきます。

コンテンツを企画する

この段階では、潜在客の情報ニーズを細かいトピックの単位で列挙し、コンテンツ案を作っていきます。検索者が知りたいのはあなたの製品やサービスではなく自分自身の課題に対する知識や解決策ですので、コンテンツ案におけるメインのトピックはどれも知識や解決策を提供するものにします。

コンテンツを企画していくときには、これまでに見込客や既存客から受けた問い合わせ、質問、相談、苦情などがヒントになるでしょう。また、検索エンジンのサジェストキーワード(検索ボックスで自動補完されるキーワード候補)や、検索結果に表示される「関連する検索」の欄(いずれも下図)もヒントになります。

サジェストキーワードの例

コンテンツ案は最終的には「解説」の形を採り、概念を解説する、理由を解説する、方法を解説する、などのようにします。具体的には次のような形です。

  • AにおけるBの概念の[わかりやすい/初心者向けの/詳細な]解説
  • AがAである理由の[わかりやすい/初心者向けの/詳細な]解説
  • AがBになる理由の[わかりやすい/初心者向けの/詳細な]解説
  • AをBにする方法の[簡単な/低予算な/自分でできる/手早い]解説
  • AをCに保つ方法の[簡単な/低予算な/自分でできる/手早い]解説
  • AをDに戻す方法の[簡単な/低予算な/自分でできる/手早い]解説

それぞれのトピックについて、専門家として「詳しく説明する」または「解決策を教える」コンテンツ案を企画します。コンテンツの重要な目的のひとつは、信頼できる専門家としてターゲットに認識してもらうことです。このため売り込みはしないか最小限にし、知識や解決策の提供を中心に考える必要があります。

キーワードを選定する

前段で列挙した個々のコンテンツ案ごとに、そのコンテンツを探すときに潜在客が使いそうなキーワードを考えます。キーワード選定においては主としてロングテールのキーワードを狙います。絞り込まれた具体的なキーワードほど、絞り込まれた有望な潜在客を連れてくるだけでなく、上位表示の難易度も低いからです。

ページビュー数、つまり広告の表示回数を増やすことが至上命題となっているメディア系サイトや個人の収益化ブログなどでは、検索ボリュームを重視してキーワード選定をすることが一般的ですが、ごく普通の商用サイトではロングテールを狙うほうがおすすめです。有望な潜在客により確実にリーチできたほうが収益につながるからです。

とはいえ検索ボリュームが小さすぎれば露出できませんので、Google広告のキーワードプランナー4や各種のキーワードツールを使い、いくらかの検索ボリュームがあるキーワードを選ぶようにしましょう。キーワードごとの望ましい検索ボリュームはサイトの状況によって変わりますが、個人的には「ゼロでなければOK」でよいと考えます。

検索ボリュームよりも重視したいのはターゲットユーザーの語彙です。ターゲットユーザーがどんな語彙を使うかは、今までに受けてきた問い合わせや質問、相談、苦情などからわかります。あなたのトピックの範囲で使われる特徴的な言い回しや用語があるようなら、そうしたものを積極的に使うのもひとつの戦略です。

コンテンツを作成する

コンテンツの作成で重要なことは、表現ではなく内容です。流麗な美文である必要はありませんが、専門家としての知識と経験が活きた独自性の高いコンテンツを作成しましょう。どこにでもあるような内容に終始してしまっては、あなたの持つ専門性が伝わりません。特有の経験や、独特の視点を盛り込むことを意識しましょう。

キーワード選定の項でロングテールのキーワードを選んでいた場合、特別なことをしなくても検索結果での露出は可能です。内容も文法も正確で、根拠を示しパラグラフ見出しタグでアウトラインが描かれ、タイトルタグ本文にキーワードが含まれていれば、ほとんどの場合それで十分です。

潜在客が直面している課題や問題、悩みや困りごとについての詳細な情報や解決策について解説し終えたら、コンテンツの最後にCTA(コール・トゥ・アクション:行動喚起)を加え、あなたの製品やサービスのランディングページにリンクしましょう。コンテンツを通じてあなたを専門家として信頼した人は、あなたの商品にも興味を持つでしょう。

注意

コンテンツ作成の目的は信頼評判の獲得ですが、数値目標の設定を誤ると信頼や評判を毀損する結果になってしまいます。また、コンテンツページから製品やサービスの案内ページへの誘導も、慎重に行わなければ信頼や評判を毀損します。以下ではこれらの注意点について説明します。

中間目標(KPI)の設定

コンテンツを作成するにあたって何らかの数値目標を掲げるのは良いことです。しかし個人的には、売上やページビューをコンテンツページの目標にすることはおすすめしません。ウェブサイト上のページにはそれぞれ目的がありますが、コンテンツページ(役立つ情報を提供するページ)にも固有の役割があります。以下にそれらを整理します。

  • コンテンツページ – 調べ物をしている潜在客にリーチし、顧客の課題や解決策を熟知した専門家としての信頼評判を獲得する。
  • 製品やサービスの案内ページ – 見込客が製品やサービスを選択するために必要となる知識を伝え、購入の決め手となる情報を提供し、売上を獲得する。

それぞれのページの役割は上記のようなものですので、製品やサービスの案内ページであれば、売上を目標にするのは適切です。他方で、コンテンツページであれば、信頼や評判の獲得を目標にするのが適切です。これを数値目標とする場合、SNSでのいいね!数やシェア数、被リンクの獲得数などがふさわしいかと思います。

同様に、ページビュー数をコンテンツ作成の目標に掲げるのもおすすめしません。ページビュー数を目標にすれば、見込み客の情報ニーズよりも検索ボリュームの大きさを重視してキーワード選定したり、ページビューが稼げそうだという理由でトピックの範囲を外れたテーマでコンテンツを作り始めたりするなど、信頼が得られない方向に戦略が逸れる危険があるからです。

製品やサービスへの誘導

前項と同じく「コンテンツでは専門家としての信頼評判の獲得を第一義とするべき」という理由に基づくものですが、コンテンツ本文中での製品やサービスへの過度な誘導もおすすめしません。せっかく役立つ情報を提供していても、製品やサービスへの誘導が目立ってしまえば、我田引水な印象が強まり、情報の信頼性は大きく毀損されます。

商用サイトでは当然、自社の製品やサービスを知ってもらい、最終的に見込み客が選択する解決策の候補に加えてもらうことは必要です。そこで前述したように、CTA(行動喚起)を文末か記事下に設置し、信頼し興味を持ってくれた人だけを製品やサービスの案内ページに誘導するのがおすすめです。ご覧のこのページもそのような構成になっています。

まとめ

SEOのコンテンツ作成では、見込み客を特定し、その人々が抱えている問題や課題、悩みや困りごとについての詳しい情報や解決策をコンテンツにします。潜在客から信頼を得て見込客へと引き上げ、将来の売上につなげることが目的だからです。売上につながることのない人々、つまり潜在客ではない人々はターゲットに含めません。

またSEOのキーワード選定では、主としてロングテールのキーワードを狙います。絞り込まれた具体的なキーワードほど、絞り込まれた有望な見込み客を連れてくるだけでなく、上位表示の難易度も低いからです。検索ボリュームの小さいロングテールのキーワードでも、数多くのコンテンツを作成すれば十分なアクセス数が得られます。

脚注

  1. 7 Ways to Easily Set Up an SEO Content Strategy ↩︎
  2. ペルソナ (ユーザーエクスペリエンス) – Wikipedia ↩︎
  3. 「ジョブ理論 – イノベーションを予測可能にする消費のメカニズム」クレイトン M クリステンセン他著 ↩︎
  4. キーワード プランナーで最適なキーワード選択 – Google 広告 ↩︎