SEOにおけるキーワード選定は、作るべきコンテンツの洗い出しでもあります。あるキーワードでの検索結果で上位のランキングを獲得するためには、そのキーワードで上位にランキングされるにふさわしいコンテンツが必要になるためです。このことをふまえ、このページではコンテンツ計画に基づくキーワード選定について説明します。

コンテンツ中心のキーワード選定

あるキーワードで上位にランキングされるためには、そのキーワードで上位にランキングされるにふさわしいコンテンツを発信する必要があります。このため、SEOにおけるキーワードの選定は同時に、そのキーワードに対応するコンテンツの企画でもあります。

このサイト内で何度も繰り返しているとおり、検索という行為は「検索者が情報を知るために行うこと」であり、SEOは「検索者が探している情報を提供すること」です。したがってキーワードの選定はコンテンツの企画と併せて行わなければなりません。この作業では次のようなことを念頭に置いて行います。

  • 情報の受け手が探し求めている情報は何か
  • 情報の受け手にとって有益な情報とは何か

上記のそれぞれに相当する情報が不足なく掲載されたコンテンツこそが作るべきものであり、それは高品質なものでなければなりません。そして、検索者がそのコンテンツを探すときに使用しそうなキーワードが、SEOで使用するキーワードとなります。

逆に言えば、検索者にとって探しているものでもなければ有益でもないコンテンツしかない状態では、SEOは難しいということです。検索結果の上位にランキングされることが難しいですし、仮に良好なランキングが得られたとしても、検索者を落胆させてしまうことはサイトの印象悪化につながります。

製品やサービスを探している検索者に対して

サイトが情報発信だけを意図したものである場合には、キーワードおよびコンテンツについて考えることは前項のようなことだけで済みますが、検索から誘導したユーザーに製品やサービスを販売したいと考えている場合には、もう少し踏み込んだ考え方が必要です。

ここでもやはり「検索者は情報を探している」という前提に立ち、「自社の製品やサービスを買ってくれそうな検索者はどんな情報を探しているのか」というように考えていきます。検索者が探していることを検索者の心理的段階に沿って挙げると、次のようになります。

  1. 現在の問題を解決してくれる製品やサービスにはどのようなものがあるか
  2. 自分にとってよりよい製品やサービスをどう選べばいいのか
  3. 自分にとってよりよい製品やサービスとは何か
  4. 比較検討の対象となる製品やサービスはどれか
  5. そのそれぞれの製品やサービスの詳細はどのようなものか
  6. 自分にとってよりよい販売店やサービス提供者をどう選べばいいのか
  7. 自分にとってよりよい販売店やサービス提供者はどこか
  8. そのそれぞれの販売店やサービス提供者はどのようなものか
  9. 製品をより快適に長く使う方法やコツはどのようなものか
  10. より快適で効果的にサービスの提供を受けるため方法やコツはどのようなものか

これらについて、検索者が探している情報をコンテンツとして提供し、その情報を探すときに使用しそうな検索キーワードを最適化の対象キーワードとします。

公開する情報を増やす意義と考え方

サイト内でたくさんの情報を発信するということは、数多くのキーワードをサイト内に持つことができる、ということでもあります。多くの種類のキーワードを持つことは、入り口ページとなるページを数多く持つことにつながり、多くのユーザーにアピールするチャンスを得ることができるようになるからです。

サイトで扱っているテーマに関連したコンテンツを充実させ、それらの個々のコンテンツに関心のあるユーザーを検索エンジンから呼び込むことは、サイト全体のトラフィック量の増加につながります。ただし、何でもいいからコンテンツをただ増やせばいいというものではありません。コンテンツはサイトのテーマに関連したもので、かつ質の高いものである必要があります。

ユーザーのニーズからコンテンツとキーワードを考える

サイトで提供している製品やサービスそのものだけでなく、その製品やサービスに対するニーズをもとに、必要なコンテンツおよびキーワードを考えていくことも有効です。つまり、その製品やサービスがなぜ必要なのかという理由の部分を基にした考え方です。

例えば英会話学校のサイトであれば、ユーザーが英会話学校を必要とする理由を基にして、コンテンツとキーワードを考えます。ユーザーが英会話学校を必要とする理由には、以下のようなものが考えられます。

  • 海外旅行、海外留学、海外赴任
  • 外資系就職、キャリアアップ
  • 国際結婚

英会話学校がこれらの明確な目的を持ったユーザー層を取り込むことを目的とするなら、これらに関するコンテンツを用意することで、これらをキーワードとした集客が可能になります。またさらに、これらをベースに関連したさまざまなコンテンツとキーワードを準備していくことができます。

物販におけるコンテンツの計画

物販のECサイトにおいては情報発信は難しい、という話をよく耳にします。発信すべき情報がそれほど多くない、というのです。しかしこれは誤りで、物販のサイトであっても発信すべき情報は多岐にわたります。

例えば家庭用の加工食品を通信販売しているサイトで、商品ラインナップの中に「イチゴジャム」があったとします。この商品についてユーザーが知りたいことにはどのようなものがあるか考えてみましょう。簡単に思いつくだけでも、以下のようなものが考えられます。

  • 原料のイチゴの品種、産地、栽培法、生産者などの紹介
  • 製法、その他の原材料、おいしさの秘密、他製品との違い、製造者などの紹介
  • 味の特長、見た目の特長、食感の特長などの紹介
  • おいしい食べ方、変わった食べ方、便利な使い方などの紹介
  • 保存方法、おいしさを長持ちさせる方法などの紹介などの紹介
  • 食べることで得られる効果、歴史、小話、相性の良い他の食品などの紹介
  • 各種の写真、表、グラフ、動画など
  • 単価、内容量、最低出荷数、荷姿、配送方法、注文してから商品が届くまでに要する日数などの紹介

こうしたものの中で、他の類似商品と比較して際だった特徴を持ったものを中心に情報を発信し、コンテンツとしていくことが、検索エンジンからの集客が可能になっていくと同時に、見込み客がコンバートするために必要な情報を提供していくことにつながります。

競合サイトを参考にする

競合サイトのコンテンツや使用しているキーワードを参考にさせてもらうのも一つの方法です。ここでいう競合サイトとは、同じテーマの商品や情報を扱っているサイトや、ユーザーにとっては同じ目的で使用される別の種類の商品や情報を扱っているサイトをいいます。具体的には次のようなサイトです。

同業種のサイト
直接的に競合する相手。参考にすべき点が最も多くみつかる
同種の製品やサービスを扱うサイト
例えばメーカーと小売店のように、流通チャンネルが異なっているだけで扱っている製品が同じであるようなサイト。業態は違うが取り扱い商品が類似しているサイト
情報だけを扱っているサイト
比較サイトやレビューサイトのように、販売はしていないが情報は扱っているサイト
代替製品・サービスを扱うサイト
自社の商品に代替して使用できる商品を扱っているサイト。例えばダイエット食品に対するダイエット器具や、受験予備校に対する家庭教師のようなもので、業種や業態は異なっていてもユーザー層やユーザーのニーズが競合しているサイト

これらのサイトについて幅広く分析し、自サイトのコンテンツやキーワードに反映できる点はないか考えます。

同義語や表記揺れ、略語などの扱い

同義語や表記の揺れについては、原則的にはサイト全体を通じて統一した表記をおこなうようにします。多くの場合、検索エンジンは同義語や表記揺れ、略語などを適切に処理しますので、これらについて検索エンジンを気にすることなく、ユーザーのために適切な語彙で統一してください。

同一のことを表現するためにまちまちな表記していた場合、これがユーザーの混乱を招き、理解を疎外する可能性があります。また、まちまちな表記にユーザーが微妙な違和感を覚えるなど、サイトの信頼性を低下させる可能性もあります。次に具体的な指針を示します。

一般的な語から選ぶ
キーワードはできる限り一般的な語を選びます。一般的に、同じことがらをあらわす言葉が複数ある場合、多くはもっとも一般的に使用されている言葉が、もっとも検索頻度が高くなります
業界用語・専門用語は対象ユーザー層に合わせて使用する
対象ユーザーが業界内や関連業界に多い場合は、キーワードに業界用語や専門用語を選びます。対象ユーザー層の語彙に近い言葉をキーワードに使用することによって、対象ユーザー層のトラフィックを的確に誘導できます。
地域性のあるサイトではセカンダリキーワードに地域名を使用する
発信する情報や提供するサービスに地域性がある場合、セカンダリキーワードとして地域名を使用します。また、単なる地名や地域名だけでなく、道路名や近隣のランドマーク名がキーワードになることもあり得ます。例えば「青山通り」や「東京タワー」などです
方言はサイトの地域性に合わせて使用する
特定の地域に特に関連の深いサービスや情報を提供している場合、その地域の方言もキーワードになり得ます。例えば「苦瓜」と「ゴーヤー」などという場合、方言である「ゴーヤー」をキーワードに含めることが有効なことがあります
同義語はユーザーの使用頻度の高いと思われるものを優先する
対象となるキーワードに、「ガーデニング」と「園芸」などの同義語が存在する場合は、一般的に使用頻度が高いと予想されるものか、または対象ユーザ層の語彙に近いと予想されるものを使用します
短縮語はユーザーの使用頻度の高いと思われるものを優先する
対象となるキーワードに、「コスメ」と「コスメティック」、「アプリ」と「アプリケーション」などの短縮語が存在する場合は、一般的に使用頻度が高いと予想されるものか、または対象ユーザー層の語彙に近いと予想されるものを使用します。
省略語はユーザーの使用頻度の高いと思われるものを優先する
対象となるキーワードに、「DB」と「データベース」、「RE」と「ロータリーエンジン」などの省略語が存在する場合は、一般的に使用頻度が高いと予想されるものか、または対象ユーザー層の語彙に近いと予想されるものを使用します。
カタカナ表記の揺れはユーザーの使用頻度の高いと思われるものを優先する
「ユーザビリティ」「ユーザービリティ」「ユーザビリティー」「ユーザービリティー」のような、カタカナ表記に揺れのあるキーワードは、最も使用頻度が高いと思われるものに統一して使用します。
送り仮名表記の揺れはIMEの初期状態での変換を優先する
「引越」「引越し」「引っ越し」のような、送り仮名表記に揺れのあるキーワードは、WindowsのMS-IMEの初期状態での(学習していない状態での)変換の第一候補に統一して使用します。ただし、業界内や関連業界内がターゲットの場合、業界内の慣習に従います。
性差による表現の違いは対象ユーザー層の語彙に合わせる
性差による表現の違いが起こりうる場合、対象ユーザー層の含まれる性別の語彙に近いと予想されるものを使用します。性別によって対象ユーザー層を分類できない場合は、より一般的な語をキーワードとして使用します。
年代差による表現の違いは対象ユーザー層の語彙に合わせる
年代差による表現の違いが起こりうる場合、対象ユーザー層が含まれる年代の語彙に近いと予想されるものを使用します。年代差によって対象ユーザー層を分類できない場合は、より一般的な語をキーワードとして使用します。

Google AdWords キーワードツールについて

Googleが検索連動型広告 AdWordsのキーワード選定のために用意しているAdWords キーワードツールは、AdWordsアカウントを持っていなくても無料で利用することができる大変便利なツールで、主に次のような機能が提供されています。

キーワードの候補
入力したキーワードに対してand検索で多く使われているキーワードのリストおよび、入力したキーワードと関連の高いキーワードのリスト
競合性
それぞれのキーワードの候補について、高・中・低の三段階で検索連動型広告における競合の度合いを知ることができる。競合性の高いキーワードほど競争が激しく、つまりは検索連動型広告において成果につながりやすいキーワードであると見ることができる
月間検索ボリューム
それぞれのキーワードの候補について、具体的な月間の検索数を知ることができる

このAdWords キーワードツールは上記のような情報が得られることから、SEOにおいても大いに活用されている現状があります。具体的には、最適化の対象とするキーワードを選定する際に、検索ボリュームの大きいものや競合性の高いものを優先して選んでいく、という使い方です。

しかし筆者は、このツールの積極的な活用はあまりおすすめしていません。理由は、これを参考にしすぎると、ついつい検索ボリュームの大きいキーワードにばかり注目してしまい、サイトが本来持っている強みを見失う結果になりやすいからです。あくまでも、コンテンツは上位表示のためではなくユーザーのために作るべきです。

このツールの使用は、同じ事柄を意味する複数のキーワードがあった場合に検索ボリュームの大きいものを選ぶために使う、といった程度の使用にとどめ、キーワードの選定はあくまでも自分のサイトが発信するにふさわしい情報を中心にすることをおすすめします。

ユニバーサルな情報共有という視点を持つ

そもそもウェブは、オンラインでのユニバーサルな情報共有を実現するために生まれました。参加する一人一人、一つ一つの企業が情報を発信し、それをウェブの利用者全体で共有する、という考え方です。

この結果、他媒体で探そうとすると困難を極めるような特殊な分野の情報であっても、検索エンジンを利用することで瞬時に見つけることができる、ということは珍しくなくなってきました。特殊な分野の情報収集は、その分野が特殊であればあるほど、検索エンジンは役に立ちます。

しかしこうしたことは、あくまでも情報を発信し、共有してくれる人々あってのことです。もしすべての情報発信者が検索ボリュームばかりを気にするようになってしまえば、大きな検索ボリュームの見込めない特殊な情報がウェブ上に共有される機会は減少してしまうでしょう。

ほとんどの人や企業は、多かれ少なかれ、あまり一般には知られていない特殊な情報を持っています。このような情報を公開することには、大きな意義があります。検索ボリュームという観点から見れば些細なものかもしれない情報であっても、それが他にない情報であれば、積極的に発信していくことによって、必ず誰かの役に立つことができるのです。

あなたやあなたの会社しか持っていない情報は、どんなに些細なものだったり、特殊なものだったりしたとしても、検索エンジンを経由して、その情報を求める人に到達します。公開した情報はきっと誰かの役に立つでしょうし、誰かが別の情報と組み合わせることによって、新たなアイデアが生まれるかもしれません。

私たちは普段、検索エンジンを使って様々な情報にリーチしています。これを支えているのは、情報発信する人々です。私たちは、一方的にこの便益を享受するだけでなく、自分たちも情報発信者の一員となり、他の利用者に報いていくという視点を持つべきです。