SEOは、検索者の関心にフォーカスし、検索意図を洞察し、検索者の疑問に対する答えとなる解決策をコンテンツとして提供するプラクティスです。この記事では、検索者の関心と検索意図を洞察していく方法について解説します。

ユーザーがサイトを訪問する文脈を意識する

SEOは、検索者の検索意図に沿ったコンテンツを構築していくことで、自然検索からのトラフィックの増加を実現するプラクティスです。このとき必要なことは、検索者が検索を実施する以前の文脈に目を向けることです。これは言い換えれば次のようになります。

  • 検索者が発するだろう問いを予測する
  • その問いが発生する背後の状況に目を向ける
  • 背後の状況から問いに至るコンテクストに沿って、問いに答えるコンテンツをサイト上に公開する

理由もなくサイトを訪問するユーザーはいません。ユーザーにサイトを訪問してもらうためには、ユーザーが訪問する理由を用意しておくことが必要です。そしてユーザーが検索を通じてサイトを訪問する場合の訪問する理由とは問いに対する答えです。

SEOの作業は、検索者の問いを予測し、それに対して先回りして答えることを通じて、検索者がサイトを訪問する理由となるコンテンツを提供することです。これを実施するためには、訪問者の関心を洞察し、検索の意図と文脈を理解することが不可欠です。

検索者はあなたの商品には関心がない

訪問者の関心について考える前に、確認しておくべき考え方があります。それはSEOだけでなく、またオンラインだけでなく、すべてのマーケティング活動において前提となる考え方です。

  1. 消費者はあなたの会社にも製品にもサービスにも関心がない。あなたの苦労や努力にも、あなたの損益にも、あなたの競合にも関心がない
  2. 消費者が関心を寄せていることは、消費者自身についてである

消費者が関心を寄せている対象は常に消費者自身に関することなのであって、どこかの業者の製品やサービスに関心を寄せているわけではありません。この前提がマーケティングのスタート地点です。SEOの場合についてもう少し具体的に考えてみましょう。

私たちは一人の検索者として、一日に数え切れないほど多くの検索を行います。しかしそうした検索のほとんどは業者や製品やサービスを探しているのではありません。以下に、このサイトの読者が頻繁に実施していると思われる検索の例を挙げてみます。

  • あなたが CSSのハックについて検索しているとき、それは単に方法を調べているだけであって、CSSをハックしてくれる業者やサービスを探しているわけではない
  • あなたが Apache Webサーバの設定について検索しているとき、それは単に方法を調べているだけであって、設定を代行してくれる業者やサービスを探しているわけではない
  • あなたが Webにおける集客について検索しているとき、それは単に方法を調べているだけであって、集客を代行してくれる業者やサービスを探しているわけではない

上記のように検索のほとんどは、業者やサービスを探すものではありません。探しているのは方法であり解決策です。業者や製品やサービスを探し始めるのは、自力で解決することが困難であるか、何らかの製品やサービスを頼るほうが得策だとわかった後です。

情報探索の動機となる関心

ユーザーが検索エンジンなどを使って自主的・能動的に情報探索を実施するとき、その背後の文脈には必ずユーザー自身についての関心事が存在し、それは大まかに次のようなものです。

課題
やり遂げなければならない事柄。こうなりたい、こうしたいという目標
問題
課題の克服を妨げている要因。困っていること、または困っている状況
疑問
知らなければならないが、まだ知らないこと。正誤を確認すべきこと
悩み
解決や判断ができず、思い悩んでいること。解決に行き詰まった状況
不安
先行きに対する懸念や危機感。顕在化していない危険に対する恐れ
願望
理想とする状態への望み。こうありたいと望み願っていること

ユーザーは上記のような状況の克服や解決、または達成に近づくために、解決策や打開策を求めて検索します。これを受けてサイト運営者が実施すべきことは、訪問者の関心を主語に、解決策を提示するコンテンツを作成することです。

ユーザーの関心を主語にする

ユーザーにとって関心のないこと(例えばあなたの会社や製品やサービス)を主語にして作られたコンテンツは、ユーザーにとって関心のないコンテンツです。関心のない情報を取得しようと検索するユーザーはいません

SEOで人を集めたければ、人が関心を持ち、検索することを話題にしなければなりません。ユーザーの側に立ち、ユーザーの関心に沿うことが必要です。

  • 弊社の製品は、世界でも最高水準の厳しい品質管理の環境のもと、最新の技術と設備を駆使し、経験を積んだ専門の技術者が一つ一つ丁寧に作りあげています。弊社ではこの最高の製品を、独自の流通システムによって画期的な低価格で提供しています

上記はよくありがちな誤りの例です。この文の主語は自社やその製品であり、内容も自画自賛に終始していて、ユーザーにとって興味を持てるポイントがありません。伝わることがあるとすれば、自己中心的な発想で運営されている会社なのだな、ということだけです。

コンテンツの主語はユーザーの関心そのものであるべきです。「弊社の製品は」ではなく「あなたが抱えているその問題は」というコンテクストが必要です。それがユーザーの関心に沿うということです。

サイト運営側の都合ばかりを優先し、自己中心的なメッセージを一方的に伝えようと高慢な自画自賛をサイトにいくら追加しても、そうしたものはユーザーに求められていないことを自覚しなければなりません。

ユーザーに求められていないマーケティングは、ウェブにはふさわしくありません。ウェブでは、ユーザーに求められるマーケティング、ユーザーに愛されるマーケティングを目指すべきです。そして、それが可能であることがウェブの醍醐味です。

コンテンツでは解決策を提示する

検索者は、課題、問題、疑問、悩み、不安、願望などを背景に抱えて検索します。そして、検索結果に求めているのはそれらの解決策です。そこにフォーカスすることが、SEOにおける集客の基礎となります。

検索者が求めているものは解決策ですから、サイトに掲載するコンテンツは解決策を紹介し解説するものであるべきです。解決策をコンテンツにすることによって可能になることは次のようなものです。

  • 広告ではリーチできない層にリーチすることができる
  • 検索やソーシャルメディアでの露出を増やし認知を広げることができる
  • ユーザーがサイトに訪問する理由を作り出すことができる
  • 押しつけることなくユーザーの意思で自発的にサイトを訪れてもらうことができる
  • 訪問者のニーズを理解する能力があることを示すことができる
  • 解決策につながるノウハウやスキルを保有していることを示すことができる
  • 自分の力で問題解決を図ろうとする能動的なオーディエンスを獲得することができる
  • 専門家として尊敬され、オーディエンスとの関係を円滑なものにすることができる
  • 実際に訪問者の役に立ってみせることができる
  • その見返りとしてソーシャルメディアでの共有や被リンクを受け取ることができる
  • 信頼を獲得し評判を形成することができる
  • いざというときに思い出され頼られる存在になることができる

検索者の関心にフォーカスし、解決策をコンテンツにすることで、サイトに必要なもののうち短期のコンバージョン以外のすべてが手に入ります。SEOは短期のコンバージョン獲得は苦手ですが、その部分はリスティング広告に担当させることができます。

自然検索からトラフィックを集めるのは簡単です。つまりSEOは簡単です。検索者の関心に沿って解決策を提示していく、ただそれだけのことにすぎません。

あなたがあなたの仕事における専門家であり、検索者の課題や問題を洞察する能力があり、解決策を提示する能力があるなら、SEOは必ず成功します。むしろ、あなたが専門家であり能力があることを示すために、SEOを積極的に使うべきでしょう。