検索という行動はほとんどの場合、知らないことを知るために行われます。SEOを効果的に実施するためには、企業の目線で伝えたいことだけを一方的に発信するのではでなく、検索者の目線に立ち、検索者にとって役に立つ情報とはどんなものかを考え発信していくことが必要です。

そのコンテンツは検索者の質問に答えているか?

検索という行動のほとんどは、検索者が知らないことを知る情報問題解決行動(調べ物)です。私たちはそれぞれが一人のユーザーとして毎日何度も検索を行っていますが、その動機は常に「知らなかったことを知りたい」というものであり、質問に対する答えを求めて検索結果に向き合いっています。

このことをコンテンツの作り手としての私たちに置き換えて考えるなら、検索結果での露出を考慮したコンテンツを作る場合(robots.txtなどで検索避けをしないコンテンツを作る場合)には、常に「そのコンテンツは検索者の質問に答えているか?」という視点を持つ必要があるということです。

検索を通じて知識を獲得するプロセスと、検索結果との対話

適切な検索キーワードを選択するためには、調べようとしていることについてある程度の知識が必要とされます。このため、知識の少ない未知の分野について検索する場合には、検索キーワードを変えながら複数回にわたって検索を繰り返していくことになります。具体的には次のようなものです。

  1. とりあえず思いついたキーワードで検索してみる
  2. 検索結果やそこに表示されたページから新たな知識を得ることで、最終的に求めている情報により近いキーワードを選択できるようになる
  3. 新たな検索キーワードで検索し、求めている情報により近づく新たなキーワードを得る
  4. 上記3を何度か繰り返し、最終的に求めていた情報を獲得する

検索を通じて新たな知識を獲得するプロセスは上記のようなものですが、これは検索者と検索エンジンの間で行われる一種の対話であると考えることができます。この対話をより実りあるものにするためには、検索エンジンの性能が向上することはもちろんですが、より適切に検索者の質問に答えるコンテンツの存在が不可欠です。

検索者とコンテンツ制作者のコミュニケーション

先述の検索を通じて新たな知識を獲得するプロセスをコンテンツ制作者の視点から見る場合、検索者が知識を獲得していく各段階に応じたコンテンツをより多く用意することができれば、そして検索者の知識形成に大きく寄与することができれば、検索エンジンを通じて検索者とのよりよいコミュニケーションが実現するということになります。

検索者は、求めていた情報を提供してくれたサイトに対して感謝の気持ちや信頼感を抱きます。それは一回あたりでみればそう大きなものではないかもしれませんし、そう強く印象づけられることもないかもしれません。しかし、同じサイトから何度も情報の提供を受け、そうした良好なエクスペリエンスを繰り返せば、そのサイトへの好意的な印象が強くなることは間違いありません(例: Wikipedia)。

検索を通じた悪いコミュニケーション

一方、検索を通じた知識形成のプロセスの中では、売り込み口上や売り込みのための恣意的な情報に触れることも少なくありません。多くの企業が、売り込みのページを検索結果に表示しようと躍起になってSEOに取り組んでいるためです。

しかし、検索者の知識形成に寄与する意識がなく、サイト内に用意されているほとんどすべてのコンテンツが売り込み口上だけで構成されているような場合には、そのサイトで検索者との理想的なコミュニケーションを成立させることは困難です。

よいコミュニケーション
検索者の知識形成の各段階に応じたコンテンツを提供し、検索者の知識形成に貢献する
悪いコミュニケーション
検索者が求める情報は提供せず、売り込み口上ばかりを検索結果で露出しようとし、検索者の知識形成に寄与しない

ここでの問題は、求めているような情報を提供してくれるサイトの大半は、一般的な企業サイトではなく、個人のブログやニュースサイト、クチコミ系サイト、公的機関や非営利団体のサイトばかりであることです。現状のほとんどの企業サイトは、少なくとも検索者にとっては、売り込み口上と恣意的な情報だけが詰め込まれた、言わばノイズのような存在でしかありません。

情報不足によるコミュニケーション不全

検索者と企業サイトのコミュニケーションが不全になるケースは、先述のように検索者のニーズとは異なる情報が掲載されたページが検索結果に露出してしまうケースの他に、そもそも検索者のニーズに合った情報が企業サイト内に存在しないというケースがあります。ここでは実際の検索結果を基に、検索者のニーズに合った情報の提供について見ていきます。

ある人が、よく食べているコンビニ弁当の安全性に疑問を感じたとします。この人が行いそうな検索について考えてみましょう。まずは単純に「コンビニ弁当 + 安全性」で検索します。この結果から食品添加物に問題がありそうだということを知り「コンビニ弁当 + 添加物」で再検索します。この結果に恐怖を感じ、普段よく使うコンビニチェーンについて、下のようなキーワードで検索を試みます。

ここまでの検索で、ニーズに合った情報をコンビニエンスストアの公式サイトからどれだけ得られたでしょうか? おそらく、公式サイトから十分な情報が得られたと感じる人は少ないでしょう。続いて別の例も見ていきましょう。

ある人が、よく食べているファーストフードが健康に与える影響について疑問を感じたとします。そこでまずは「ファーストフード + 健康」と検索します。

この結果から、ファーストフードと生活習慣病、特に肥満と強い関係がありそうだということを知り「ファーストフード + 肥満」で再検索します。この結果に恐怖を感じ、普段よく使うファーストフードチェーンについて、下のようなキーワードで検索を試みます。

今度の例では、ニーズに合った情報はファーストフードチェーンの公式サイトからどれだけ得られたでしょうか? おそらくこの結果でも、公式サイトから十分な情報が得られたと感じる人は少ないでしょう。

ここまで例として挙げたコンビニエンスストアやファーストフードチェーンは、ほぼすべての会社が食育などのようなCSR(企業の社会的責任)活動に取り組んでいます。つまり、ある程度の予算を割いて社会に貢献しようとしているわけです。

しかしWebの活用という点においては、検索者の疑問に答えるコンテンツがない(または少ない)せいで、検索者に貢献できていません。そして、こうした問題はこれらの業界に限ったものではありません。

問題解決を助ける情報発信と信頼の獲得

商品やサービスを売りたいのであれば、それらに関する情報(売り込み口上だけでなく検索者が求める情報)も同時に伝えるべきであり、それがWebを通じて行われるものであるなら、その情報は検索者の興味に沿っているべきです。

多くの企業は売り込みに関するページばかりを検索結果に露出しようとし、検索者が求めるような役に立つ情報の発信には消極的ですが、その姿勢によって多くの機会やトラフィックが他のサイト(個人のブログやライバル企業のサイト)に奪われていることに留意する必要があります。

  • 問題の解決に役立つ情報を提供してくれる企業
  • その分野についての専門的な知識を充分に持っている企業
  • たくさんの解決策を知っている企業

上記のようなイメージを持って企業を見てもらえるようになるためには、検索者の情報問題解決の助けになるようなコンテンツを多く発信していくことが不可欠です。

こうした情報発信は、その情報を探している人々の検索結果への露出機会を増大するだけでなく、信頼の獲得にもつながり、また、その情報が役に立ったと感じた利用者が他の利用者と共有する(つまり被リンクを獲得する)可能性も高めます。

SEOを効果的に実施し利益につなげてていくためには、企業の目線で伝えたいことだけを一方的に発信するのではでなく、検索者の目線で検索者にとって役に立つ情報とはどんなものかを考え発信していくことが重要な意味を持つのです。